水の女、風の時代に途方に暮れる

コロナ禍の中、マッチングアプリは婚活するのにちょうどよいのでは、と時々思う。
しかし、本気で結婚したいと思えないミドサーないしはアラフォーと言われる私、全然いいねが来ない。自分も大した容姿でないのを棚に上げて、好みでない男性からいいねをもらうのもそれはそれで辛い。
私は温かい家庭を築きたいのではない。今の仕事をしながら子育てをするプランが思いつかないから、子供は欲しくない。しかし、婚活している男性の多くは子供が欲しいのだ。

どんなに人生にもしもを想定しても、30歳までに子供を持つプランが私の人生にはない。授かり婚はあったかもしれない。20代を心療内科に通院することでほとんど終わりにしてしまったのだから。
子供が育つ速度には個人差がある。じゃあ大人になったら一律になるとでもいうのか? 私は年のわりには幼いと感じる。もう薬は飲んでないけど感じている。

32くらいのときにマッチングアプリをしていたときは、たくさんいいねをもらった。その頃に学生時代の友人と会って、彼女は「一生の友達がいれば結婚する必要はないよね」と言って、現実的な男性の理想を話し出した。BLにしか興味がなかった彼女がである。
私はもう彼女と会っていない。21歳のノリで趣味の話をすることにもまた、違和感を感じてしまったからだ。
その数ヶ月後に、「結婚を前提として」交際を開始し、相手の親に会ったけど、すぐに別れた。彼は「あなたのことは好きじゃなかった、寂しいからつきあった」と言った。うわー、こんな20代前半の人しか言うことが許されないような台詞を同い年の男に言われるとは。
それからは誰とも付き合っていない。奇跡みたいな良い出会いがあったけど、あまりにも相手のスペックが高すぎて離れた(向こうも私のことをそのような対象として見ていなかったと思う)

結婚したらもう他の人と恋をすることも寝ることも出来ない。じゃあ、ちゃんと好きになれる相手を見つけなくちゃ。あれ、私って人を好きになったことあった?
相手に欲情する感覚は分かる。母性本能をくすぐられる感覚も分かる。相手の中身を愛したことはない。
風の時代に元ベタベタ恋愛体質の水の女は途方に暮れている。